『なんにも見えない小さな星から。』を観劇して

ミチタ カコ、ずっと密やかに憧れていたのに、どういうわけか、なんらかのかたちでいつも裏かぶりをしていて観に行けず、今回念願かなって、やっと観劇させていただきました。(お忙しいところ、直前の滑り込みにもかかわらず、ありがとうございました…!他のお客様、私のせいで席狭くなっちゃってごめんなさい…!)

 

劇とは直接関係ありませんが、受付をしてくださった、演出の相原さん(と思しき女性)がとても美しくて艶やかな方で、同性なのにドキドキしてしまって、挙動不審になってしまいました。直前にねぎたま牛丼を食べてしまったので、ねぎのにおいがしないか本当に心配でした。

 

演劇を観て「グロい」と感じたのは、もしかしたら初めてのことかもしれません。それは客席と舞台の物理的な距離の近さによるものもあるのでしょうが、その距離から伺える役者のお二人があまりにも「生き(すぎ)て」いて、いい意味でなんだか気味が悪かったのです。なんというか、微生物を顕微鏡で観察しているかのような、機械時計の細密な歯車の絡み合いを見ているような、そんな気持ちになりました。それは皮膚呼吸レベルで役者さんの息遣いが伝わってくるような光景でもあったし、同時に息なんてしてないんじゃないかと思えるほど精巧でもあって、とても不思議な気持ちになりました。

 

脚本は繊細で清潔感のある言葉が切なく、でも押し付けがましくなく、綴られていて、素敵でした。太宰治の「女生徒」や赤染晶子の「乙女の密告」を思い出しました。でも、もっと可愛らしく、慎ましやかな印象を受けもしました。難しい言葉を使わないで、センスのいい描き方をされていて、すごいなと思いました。

 

ゲーラカイトのくだりは勝手にリリイシュシュのすべてを思い出しました。私はもともと「目」に興味があり、そういうモチーフが出てくると嬉しくなってしまうのですが、言葉も身体もクラクラするほどいじらしい表現のされかたをしていて、すごく素敵でした。

 

そして、全編を通して、思ったのは役者さんの身体がほどけるようにスマートなこと…!(きっと無音で見ていても、十分気持ちがいいことでしょう…!)以前、自分の企画を演出の相原さんが観に来てくださったときにアンケートやTwitterにて、お褒めの言葉をいただいた一方、「身体が意識に奪われすぎていて冷静になれていない、アンバランスな感じがある」というような言葉をいただき、この言葉の意味が、確かに…!なんか、すごくわかる…!みたいな気もする一方、いや、わかるような気がするだけで、本当にわかれてはいないのでは…?みたいな気持ちもあり、その、どういうことなんだろう(?)の種明かしを知りたくて、今回観劇させていただいた部分もあるのですが、「わぁぁぁ身体ってこんな風に使えるんだ!」と感動するほど、身体が滑らかで、無理してなくて、「そういうことか!」と勝手にすごく腑に落ちて、感嘆してしまいました。役者さん(私が観たのは有光さん、穀野さんチーム)と、演出さんのポテンシャルたるや、本当に大喝采でした。

 

そして、穀野さん。終演後の役者面会で、ご丁寧に挨拶をしてくださったあと「ウニョウニョウニョ〜」と言いながら、お辞儀をしてくださって、こんな綺麗な人なのになんてお茶目なの…と、ときめいてしまいました。

案内してくださった演出助手の緒方さんも、とてもお優しくて、心なしかいつもより足が長いようにも感じてきて、もう、なんじゃこの空間…!て感じでした。

 

とりあえず、来てから帰るまで、色んな女性にずっとときめきっぱなしの1時間でした。素敵な時間をありがとうございました…!